累乗和、つまり、 ∑k=1nkm(n∈N,m∈{0}∪N) について、次数が m+1 の n の多項式で常に表せるか考えます。
ここでは、総和に線形性がある、つまり、 ∑k=1n(cak+dbk)=c∑k=1nak+d∑k=1nbk が成り立つことは証明無しで利用します(これは書き下して整理することなどで証明できます)。
また、自然数 N は正整数とし、組み合わせ・二項係数 nCr は (rn) と表記しますが同じものです。
m=0 のとき
はじめに、 m を固定して m が小さい場合について考える。
m=0 のとき、求めたいのは ∑k=1nk0=∑k=1n1 である。
これは明らかに
k=1∑n1=1×n=n⋯(0)
であり、 n の1次式である。
m=1 のとき
m=1 のとき、求めたいのは ∑k=1nk1=∑k=1nk である。
これは 1 から n までの自然数の総和なので、高校数学の教科書にもあるように等差数列の和の公式などを利用することで ∑k=1nk=21n(n+1) であることがわかる。
ここでは、 ∑k=1n{(k+1)2−k2} を利用する方法で求める。
まず、 この式を書き下して、整理してみる。
k=1∑n{(k+1)2−k2}=(22−12)+(32−22)+⋯+{(n+1)2−n2}=−12+22−22+32−⋯−n2+(n+1)2=(n+1)2−12=n2+2n
次に、同じ式をシグマの中を計算してから整理してみる。
k=1∑n{(k+1)2−k2}=k=1∑n(2k+1)=k=1∑n2k+k=1∑n1=2k=1∑nk+n(∵(0))
2つの値 n2+2n と 2∑k=1nk+n は同じ式を計算したものなので等しい。
よって、
2k=1∑nk+n⇔2k=1∑nk⇔k=1∑nk=n2+2n=n2+n=21(n2+n)=21n(n+1)⋯(1)
以上より、この方法でも 1 から n までの自然数の和の公式を求めることができ、 n の2次多項式で表せることが確認できた。
m=2 のとき
m=2 のとき、求めたいのは ∑k=1nk2 である。これも m=1 のときと同様に ∑k=1n{(k+1)3−k3} を利用する方法で求める。
まずは書き下して整理する。
k=1∑n{(k+1)3−k3}=(23−13)+(33−23)+⋯+{(n+1)3−n3}=(n+1)3−13=n3+3n2+3n
次に中を計算してから整理する。
k=1∑n{(k+1)3−k3}=k=1∑n(3k3+3k+1)=3k=1∑nk2+3k=1∑nk+k=1∑n1=3k=1∑nk2+3⋅21n(n+1)+n=3k=1∑nk2+23n2+25n(∵(0),(1))
よって、
3k=1∑nk2+23n2+25n⇔k=1∑nk2=n3+3n2+3n=31(n3+23n2+21n)=61n(n+1)(2n+1)(2)
以上より、 1 から n2 までの平方数の和も求められ、 n の3次多項式で表せた。高校数学の教科書でも平方数の和はこの方法だったような気がする。
m が 3 以上のの自然数のとき
ここからはより一般化して、 3 以上の任意の自然数 l について m=l のとき、 ∑k=1nkm=∑k=1nkl が次数が l+1 のn の多項式の形で表せるかどうか数学的帰納法を用いながら考える。
まず、 m=0,1,…,l−1 のとき、 ∑k=1nkm が次数が l 以下の n の多項式の形で表せると仮定して、その式を Sm(n) とする。
つまり、
Sm(n)=k=1∑nkm⋯(∗)
と表せると仮定する。
ここからは、 m=1,2 のときと同様に ∑k=1n{(k+1)l+1−kl+1} について考える。
まずは書き下して整理する。
k=1∑n{(k+1)l+1−kl+1}=(2l+1−1l+1)+(3l+1−2l+1)+⋯+{(n+1)l+1−nl+1}=(n+1)l+1−1l+1=(l+1l+1)nl+1+(ll+1)nl+⋯+(1l+1)n1+(0l+1)n0−1l+1=(l+1l+1)nl+1+(ll+1)nl+⋯+(1l+1)n=r=1∑l+1(rl+1)nr
次に中を計算してから整理する。
k=1∑n{(k+1)l+1−kl+1}=k=1∑n{(l+1l+1)kl+1+(ll+1)kl+(l−1l+1)kl−1+⋯+(0l+1)k0−kl+1}=k=1∑n{(ll+1)kl+(l−1l+1)kl−1+⋯+(0l+1)k0}=(l+1)k=1∑nkl+(l−1l+1)k=1∑nkl−1+⋯+(0l+1)k=1∑nk0=(l+1)k=1∑nkl+r=0∑l−1{(rl+1)k=1∑nkr}=(l+1)k=1∑nkl+r=0∑l−1{(rl+1)Sr(n)}(∵(∗))
よって、
(l+1)k=1∑nkl+r=0∑l−1{(rl+1)Sr(n)}⇔k=1∑nkl=r=1∑l+1(rl+1)nr=l+11[r=1∑l+1(rl+1)nr−r=0∑l−1{(rl+1)Sr(n)}]=l+11r=1∑l+1(rl+1)nr−l+11r=0∑l−1{(rl+1)Sr(n)}
(l+1l+1)=1=0 なので、 l+1 次の項は必ず存在することに注意すると、上式の第一項 l+11∑r=1l+1(rl+1)nr は次数が l+1 の n の多項式であり、第二項 l+11∑r=0l−1{(rl+1)Sr(n)} は次数が l 以下の n の多項式なので、全体として ∑k=1nkl は次数が l+1 のnの多項式である。
m=0 のときについては、式 (0) で示した。
以上より、数学的帰納法によって、任意の m∈{0}∪N について、 ∑k=1nkm は m+1 次の n の多項式で表すことができることが示せた。
また、 l+1 次の項だけに注目すると
l+11(l+1l+1)nl+1=l+11nl+1
なので、 ∑k=1nkl の 最高次項は l+11nl+1 であり、その係数が l+11 であることも分かる。